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お客様導入事例:アステラス製薬株式会社様 『新たな気づきを引き出す仕組み』を作りたいと考えました。

アステラス製薬株式会社(以下:アステラス製薬)は、業界を取り巻く激しい環境変化の中、グローバルな視点で積極的な事業展開を推進する世界的医薬品メーカーである。

アステラス製薬では、R&D部門における情報アクセス性の向上を目的に、「研究資料」「特許文書」「社内論文」などの、社内情報の効率的な分類・分析を実現する強力な「ナレッジツール」を求めていた。

グループネットは、取組みのカギとなる「高度な企業内検索」「横断的な社内文書検索」をエンタープライズサーチ「Vivisimo Velocity」で強力にサポート。この製品の“何が”世界的企業であるアステラス製薬に評価されたのか?

アステラス製薬 研究推進部 情報管理グループリーダー 安永 智之氏、コーポレートIT部 R&D信頼性グループ 長谷部 正信氏、研究推進部 原田 敬子氏に詳しくお聞きした。

アステラス製薬の企業概要と特長

合併により製品ラインの増加だけではない本質的なシナジーの創出に全社で取り組んでいます。

まず、アステラス製薬の企業概要、事業的な特長をお聞かせ下さい。

アステラス製薬は、山之内製薬(旧)と藤沢薬品(旧)両社の合併により、2005年4月に新たに誕生した企業です。

事業的な特長としましては、過活動膀胱治療剤「ベシケア®」や、免疫抑制剤「プログラフ®」といった製品に代表されます通り、医療用医薬品の研究開発・製造販売を手がけ、日本を含むアジア、米国、欧州を中心にビジネスを展開しています。

また、企業合併に伴い製品のラインナップが増えただけでなく、本質的なシナジーを創出するために、これまで両社が長い研究期間と大きな投資を重ねてきたことにより得られた成果やノウハウを最大限に活用することが、従来以上に重要になってきました。これを企業として積極的に取り組んでいることも、新たな特長の一つではないかと考えています。

取り組みの背景

単純な「横断検索システム」では課題の解決につながらない恐れがあります。

次に、アステラス製薬はどのような「背景」から今回の取組みに着手されたのでしょうか?

2005年の合併に伴い、両社の「研究成果」や「医薬開発技術」が記載された文書や資料(以下R&D資料)の物理量が一挙に増大しました。

この結果「全体としては情報量が相当増えているはずなのに、欲しい情報がどこにあるかわからない、探し出せない」という状況が生じ、なんとか有効な情報へのアクセス性を向上させて、社内情報の活用効率を高めたいと考えました。

また、単純に情報量が増えたといっても、両社の「整理の考え方や手法」は異なりますし、使用する用語も微妙に違っていました。

従って、これまでよく行われてきた取り組みのように、「ディレクトリ構造を体系化」し、「資料を仕分け・格納し直すようなやり方」では、人的・システムどちらの対応でも、とても処理しきれないと考えられました。そこで「検索システム」という手段で、有効な情報にアクセスできるようにしたいと発想したわけですが、ここで一つ問題がありました。

それはどのような「問題」だったのでしょうか?

それは、検索結果があまりに膨大になると、やはり望みの資料にたどり着けなくなってしまうという問題です。つまり単純な「横断検索システム」を導入しても状況はあまり変わらず、課題の根本解決にはつながらない恐れがあるのです。

解決へのアプローチ

ナレッジツールに求めたものは「新たな発見」「意外な気付き」が得られる仕組みになり得るかでした。

課題の根本解決にはならないとは、具体的にはどういうことですか?

R&D資料は多くのフォルダやシステムに分散して存在しており、しかも相当な勢いで増加しています。これらをただ横断的に検索した場合、単純なキーワードでは数万件もの検索結果が返ってくるかも知れません。

これでは欲しい情報かどうかを見極めることさえあきらめてしまいます。単純な検索ではせっかく充実したR&D資料を積極的に活用することができない、それが今回の課題構造です。

その解決策がクラスタリングだった?

その通りです。企業内検索では「文書ファイル」が主な検索対象であることと、絶対的なユーザー数が少ないため、インターネットの世界でよく使われるリンク数やアクセス頻度などによるランキング形式では、目的の情報が上位に表示されるとは限らず、効果が出にくいと考えました。

アステラス製薬の課題構造

一方、検索結果を自動的に分類・分析(クラスタリング)して提示することができれば、ユーザーは検索結果の中に欲しい情報があるかどうかをより容易に見極めることができると考えられます。

さらに、クラスタリングされた結果から、情報に対する「新たなアプローチ」、最初にキーワードを入れたときとは別の視点から得られる「新たな発見」や予想もしなかった「意外な気付き」が引き出せるのではないかという仮説を立てました。これらの仮説について、段階的に導入効果を検証しながら進めることにしたというのが今回の「アプローチ」です。

なぜ、アステラス製薬はVivisimo Velocityを選択したのか?

我々が考えたナレッジの実現には、どうしても直感的で機能的なナレッジ製品が不可欠でした。

そうした中、なぜアステラス製薬は数ある製品から「Vivisimo Velocity」を選択されたのでしょうか?

まず、検索結果の自動分類・分析(クラスタリング)機能を持つことを必須条件として製品調査を行いました。候補に挙がったいくつかの製品の中から「Vivisimo Velocity」を選び、実際のデータを使った環境を構築して効果を検証することにしました。

最初の検証対象製品として「Vivisimo Velocity」を選んだ理由は大きく二つ挙げられます。

【第一の選定理由】

参考になる導入事例が豊富だったことです。カタログには機能が記載されているものの、実際にどの程度のレベルかわからない製品もありますが、「Vivisimo Velocity」の場合、カービューやグルメウォーカーの導入事例があったことから具体的なシステムの利用イメージを把握できました。また偶然同じ時期に、弊社の海外スタッフ(米国)から「ユニークな機能を持つ興味深い製品があるよ」という情報が入っていたのですが、これが「Vivisimo Velocity」でした。

この点も選択を後押しした理由のひとつと言えるかもしれません。こうした実例を通じてアステラス製薬が求めていた仕組みが高い次元で実現されていると感じたことが第一の選定理由ですね。

【第二の選定理由】

製品の機能が過不足なくまとまっていたことです。製品比較の視点としては、導入の容易さや、検索速度、クラスタリングのパフォーマンス、アクセス権制御といった機能、操作性や拡張性などを挙げていましたが、製品コンセプトとしてそれらをバランス良く実現することを目指していると感じられました。

技術的には製品が XMLで作り込まれているため、横断検索の実装や検索情報の二次利用について柔軟で融通が効く製品だと感じた点が挙げられます。

導入の決め手

『新たな気付きを引き出せる仕組み』としての機能効果に関する手応えは十二分に感じました。

では、「Vivisimo Velocity」導入の決め手となった「検証の結果」についてお聞かせ下さい。

そもそもクラスタリング検索エンジンがアステラス製薬の課題構造を解決する有効な手段となりうるかを評価するため、実際の社内コンテンツを検索・クラスタリング対象とした検証環境を用意し、ユーザー視点によるシステム活用面、管理者視点によるシステム運用面でそれぞれ評価軸を明確にして検証を行いました。

【活用面での評価】
検索条件にあった結果を正確にレスポンスすること
検索操作性に優れ、使い易い仕組みであること
欲しい情報がぼんやりしていてもイメージを固める仕組みであること
必要な情報に関係深い情報がある事に気付く仕組みであること

【運用面での評価】
システムが安定して稼働すること(安定性に優れていること)
運用負荷に対する一定以上の耐性があること
冗長化構成などの一定以上の拡張性が確保されていること

検証環境の開発と設置、少数のユーザーを対象に実施した問題設定式の実地検索テスト、100名弱を対象とした自由利用後のアンケート調査、ログ集計や負荷テスト等を通じ、各評価軸ごとに用意したチェック項目を一つずつ確認していく方法で、活用面および運用面での検証結果を集めました。

最後に、それぞれの項目を、ファンクション(機能に関する評価)、プロセス(利用の過程で得た知識や印象)、リザルト(利用の結果)の3つの観点で再分類し、総合的に評価しました。結果としてどの観点から見ても満足すべき評価結果が得られたと考えています。

とりわけ「新たな発見」や「意外な気付き」という、高いレベルの挑戦課題について、予想を上回る結果が得られたことは驚きでもあり、ある意味決め手になったと言えます。この結果に基づいて本格導入を決断しました。

導入後の具体的な効果については、ある程度の利用経験の積み上げが必要となるため、明確な定量効果を示すことは難しいのですが、『新たな気付きを引き出せる仕組み』の提供も含め、今回のクラスタリング検索エンジンの導入目的達成に対する手応えは、十二分に感じています。

SIerのCAC社に聞く、取り組みの舞台裏

各プレイヤーのプロジェクトへ対する高い意識がスムーズな進行を支えてくれました。

今回の取り組みにSIerとして参画されたなか、最も苦労したことはありますか?

率直な意見を申しまして、苦労したことと聞かれても即答できる内容が思い当たりません…。

と言いますのも、クライアントであるアステラス製薬メンバーの皆さまは、プロジェクトへの参画意欲や当事者意識が旺盛ですので、検討過程で生じた課題の共有などにおいて致命的な認識の (そご)が生じる余地が全くありませんでした。

また、ソフトウェア・ベンダーであるグループネット社も、プロダクトに対するフィードバックや問い合わせへのレスポンスが極めて迅速でした。本国(米国)の開発ラボにフィードバックを投げてから、ものの数日間でレスポンスが返ってくることもありました。そういった意味では、「Vivisimo Velocity」が海外の製品であることを失念してしまう程でした。

クラスタリング検索エンジンは、導入して終わりなのではなく、導入してからこそが始まりだと感じています。

今回の取り組みをベースに今後は、どのような展開を考えられていますか?

今回の取り組みに着手したのは、2006年8月ですので、足かけ2年の取り組みとなり、現在でもアステラス製薬のプロジェクトメンバーの皆さまとは、定例的にミーティングを重ねています。

そうした積み重ねの共通認識として、現在はクラスタリング検索エンジンを選定導入した段階(導入段階)であるため、直近の取り組みとしての機能強化が課題だと考えています。

機能強化への取り組みとは、具体的に?

具体的には、アクセス権や職域に応じた検索結果の変化機能の実装など、「検索情報のセキュリティ性の強化」、類語登録の実施、表示結果のソート順変更機能といった「ユーザビリティの強化」が中心的な取り組み機能となります。

更に中期的な取り組みの機能強化としては、社内の複数システム横断検索の実現、クラスタリング機能の標準化といった「充実段階」、さらに幅広い検索対象に対するクラスタリング機能の適用といった「発展段階」など、アステラス製薬の社内情報の利用度向上、業務効率化をSIerとして積極的に支援させて頂きたいと考えています。

お忙しい中、貴重なお話、ありがとうございました。

※ 取材時期:2008年07月中旬
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